【ホームページ制作の料金表項目】安くするコツ、削らないほうがいい費用

アベユキノ

執筆者:アベユキノ

【マーケティングコンサルタント/株式会社プレア取締役社長】2016年〜クライアント企業のマーケティング支援に従事。2012〜2015年株式会社リクルートライフスタイル(現・株式会社リクルート)にて広告の企画提案営業、全国営業MVP受賞。SNS戦略を得意とし、Twitterのフォロワー数10,000人超。

これを読んでくださっている皆さまは、ホームページ制作(webサイト制作)をお考えでしょうか。

私は6年ほど前にこの業界へ入ってきました。そのときに思ったのが、

あべ
あべ

制作料金の見積もり、わかりづら……

でした。

でも、6年も制作の現場に携わっていてわかったことですが、わかりづらい見積もりをきちんと理解すること、それはクライアントさまご自身を守ることにもつながります。

「含まれていると思ったのに含まれていなかった」なんて後から嘆くことにならぬよう、面倒ではありますが、しっかり詳細をご確認いただきたいとわたしたちは思っております。

web業界特有の専門用語

もっとも見積もりをわかりづらくしているもの、それは独特な見積もり項目ではないでしょうか。ここでは、弊社でよく登場する項目を解説していきます。

TOPページ制作費

これはわかりやすいと思います。TOPページとは、ホームページのなかでもっとも表示されることの多い「HOME」と呼ばれるページのことです。

このページは、他のページよりも高く設定されることが多いと思います。

なぜなら、TOPページには以下のようなものが含まれるから。

  • サイト全体のグランドデザイン(色味、雰囲気など)
  • ヘッダー、フッターなど全ページ共通部分
  • スマートフォン用のヘッダー、フッター
HOMEの例

デザイン校正で、もっとも時間がかかるのもこのページです。

下層ページ制作費

下層ページとは、TOPページ以外のページのことです。弊社では、後述する「流し込みページ」「フォーム付きページ」とも分けて見積もりをお出ししています。

お察しのとおり、「下層ページ」と一口に言っても、手のかかるページもあればそうでないページもあります。弊社では、【1ページにつき5セクションまで】と区切りをつけることで、一律料金を実現しています。

あまり長すぎるページは、ユーザーにも歓迎されないですからね。

流し込みページ

こちらは、デザイン・コーディングともに工数が大幅に削減できるページです。

プライバシーポリシー例

たとえば「プライバシーポリシー」など、ほぼデザインが必要ないページを指します。こういったページも、通常の下層ページと同様の見積もりにされる制作会社さんもあると思いますので、詳細は見積もり発行元に確認が必要です。

また、こういったページは、依頼しないと見積もりに入れてくれない制作会社さんもあるようです。弊社では、必ず作成するページとして、以下の4ページを基本セットとしています。

  1. プライバシーポリシー
  2. サイトマップ
  3. 表示エラーページ(404エラー)
  4. 検索エンジン向けサイトマップ(xml sitemap)

フォーム

問合せなど、個人情報を入力してもらうフォームのことです。

フォームの例

最近ではMAツールなど外部ツールでフォームを作成することも増えましたが、これはサイトオリジナルのフォームを作成する場合です。

フォームに間違いがあると、せっかくの問合せを無駄にしてしまうどころかユーザーに悪いイメージを与えかねません。プログラム技術を要することや、何度も送信テストやUIテスト(使いやすさの確認)をする必要があることから、簡単なようで気の抜けないページとなっています。

フォーム管理シート1
フォーム管理シート2

表に見える「フォーム」だけでなく、自動送信メールや収集される個人情報の扱いなど、間違いが起こらないよう、弊社ではスプレッドシートにて管理しています。

ブログ作成

一般的にイメージする「ブログ」といえば、今ご覧いただいているような記事作成機能つきページかもしれません。

もちろんそれもあるのですが、たとえば「よくある質問」「スタッフ紹介」「実績紹介」など、クライアント様側でどんどん更新していく必要があるページは、すべてブログ機能で簡単更新可能にしていきます。

ブログ例
引用:https://izul.co.jp/consultants/

本文部分はもちろんですが、写真やお名前、サムネイル作成など、規定の場所に入力するだけで簡単にページを増やすことができます。これも「ブログ機能」としてカウントしています。

写真撮影

サイトに使用する写真は、デザインに合わせて撮影し直すことが多いと思います。カメラマンは外注することが多いので、弊社ではカメラマン依頼費は実費とし、ディレクション費用を見積もりには別途計上しています。

「ディレクションって何するの?」と思われたかたは、こちらの記事をご覧ください。

写真撮影ディレクションの心得写真撮影ディレクションの心得【香盤表DL/webディレクター】

素材作成費(イラスト・ロゴなど)

通常のデザインには含まれない範囲に「素材の作成」があります。たとえば、オリジナルのイラストを使用したい、企業ロゴも作成してほしいなどのご依頼があった場合に計上されます。

イラスト例
引用:https://ouchino-kaikata.com/

たとえば上記のサイトでは、全体に渡ってオリジナルの書き下ろしイラストを使用しています。

フリー素材をうまく活用する(少し加工する程度)、小さく1枚だけイラストを使いたい、といった場合には、込みとさせていただく場合もあります。

なお、通常こういった書き下ろしイラストは、サイト内でのみ使用することを想定した見積もりとなっております(弊社だけでなく、一般的にです)。著作権譲渡をご希望される場合には、また別の見積もりになる可能性が高いので、あらかじめご相談いただく必要があります。

ロゴは、当然あらゆる媒体で使用することが前提なので、その限りではありません。

原稿ライティング

弊社のweb制作では、ほぼすべてのページを弊社ライターが担当しています。まれにご予算の都合上、クライアントさまご提供の原稿を使用することもあるのですが、それでもリライト(大意が変わらないような書き直し)だけは入れさせていただくようお願いしています。

ブログなどとは違い、決まった箇所にある程度決められた文字数で書く必要があるセールスライティングは、慣れないと案外難しいもの。

弊社では、主要ページにのみライティング費用を計上させていただき、その他の簡易なページ(問合せ送信完了ページ、表示エラーページなど)は、サービスとしています。

ベースコーディング、CMS実装

コーディングとは、HTMLという言語を使ってweb上でページが見られるようプログラムを施す作業のこと。

コーディング例
コーディングの例

「ベースコーディング」というのは、各ページのコーディングではなく、基礎となる部分の作成を指します。全ページに影響を及ぼすような設定が含まれます。

また、「CMS実装」とは、WordPressなどサイトの基礎となるシステムを実装する工程のこと。これがないとコーディングの手間(=コスト)が跳ね上がってしまう上、ブログ機能などが使えなくなってしまいますので、最近のweb制作ではほぼ必須と言っていい項目であると思います。

リリース作業(サイト公開作業)

サイトを公開する際、ただ公開するのではなく、SEOに有利になるような施策やデータ取得に必要なツールの埋め込み(設定含む)などを行っています。

  • Google Tag Manager
  • Google Search Console
  • Google Analytics
  • ヒートマップツール(必要に応じて)
  • MAツール(必要に応じて)

などの埋め込み、設定、確認が含まれます。内容によっては、サイト公開の数日後でないと設定できないものもあり、地味に手がかかる作業となります。

リニューアル対応

制作するサイトが新しいものでなくリニューアルだった場合、公開中のサイトに支障が出ないよう開発環境を用意して進めていく必要があり、完全に新しいものを制作するよりコストがかかります。

また、古いサイトURLへアクセスがあった場合に自動的に新しいURLへリンクさせる機能(リダイレクト)など、きめ細やかな接続が必要となるため、この対応も含めて行います。

リダイレクト処理を怠ると、せっかくこれまで積み重ねてきたSEOパワーが無駄になってしまう場合もあり、注意が必要です。

ディレクション費用

ここまでの工程すべてをまとめるディレクション費として、弊社ではすべての20%を頂戴することにしています。

これは、クライアントさまとの打合せや各方面へ提出する資料作成費、デザイナー・エンジニアとのスケジュール調整など、すべての調整費として計上させていただいています。

これを担う役割の人がいないのは、建築現場で親方がいないようなもの。それぞれのプロフェッショナルがいても、意思疎通をしたり、クオリティチェックをしたり、お客様の意向を確認したり、スケジュールを調整したり、資材を調達したり……ができないということになりますので、これも欠かせないコストとなります。

制作料金を抑えるコツ

写真撮影費、素材作成費

さて、お待ちかねの費用を抑えるポイントですが、わたしのおすすめは「写真撮影費」「素材作成費」です。

写真撮影のディレクション費は、ディレクターの人件費なので削りようがない(制作会社規定の価格になる)のですが、カメラマンはご自身で手配することが可能です。

またイラストなどの作成費も、イラストレーターをご自身で手配する、もしくはフリー素材で代用することでかなり抑えられる可能性があります。

デザイン制作に入る前に素材を用意しておけば、それに合わせたデザインを制作してくれるところがほとんどだと思いますので、念のため制作会社さんに事前相談をしてから、お知り合いなどに依頼するようにしましょう。

ブログ作成費

また、ブログ作成費も抑えられる可能性のあるポイントのひとつです。

自由に更新できるのは魅力的ですが、更新頻度を冷静に考え、ブログ機能を組み込むか更新のたびに制作会社に依頼するか、どちらがよりコストを抑えられるか天秤にかけるべきだと思います。

サイト公開時にはブログ機能なしのページとして作成し、更新頻度を見ながらブログ機能を追加するという方法もあります。

サイト制作は初期費用が大きくなりがちですので、制作会社さんとよく相談しながら進められるとよいと思います。

削らないほうがいい費用

そもそも削れない費用もたくさんあるのですが、「削れそうだけど削らないほうがいい費用」と言われたら、間違いなくこれです。

原稿ライティング費用

webサイトというのは、読んでもらえなければまったく何の役にも立たないツールです。

文章を書くだけなら一見誰でもできそうに見えますが、webサイトの良し悪しはライティングを含む「コンテンツ」だと言っても過言ではないと私は考えています。

むしろ、デザインやコーディングは市販の有料テンプレート機能でまかなったとしても、コンテンツ制作にかかる費用だけは削らないほうがいい。それくらい重要なポイントです。

制作会社をうまく活用するには

最近ではフリーランスで制作をされているかたがいたり、初期費用0円で制作してくれる会社さんがあったり、ホームページの作り方も多様化していると感じます。

ご自身が作りたいホームページのありかたを再検討し、「この制作会社は何にお金がかかっているのか?」「なぜ安いのか? なぜ高いのか?」をしっかり見極めることが重要です。