「明日からブログ担当ね」と言われた人へ。企業ブログのコツを事例から学ぶ

アベユキノ

執筆者:アベユキノ

【マーケティングコンサルタント/株式会社プレア取締役社長】2016年〜クライアント企業のマーケティング支援に従事。2012〜2015年株式会社リクルートライフスタイル(現・株式会社リクルート)にて広告の企画提案営業、全国営業MVP受賞。SNS戦略を得意とし、Twitterのフォロワー数10,000人超。

三島 友洋

取材協力:三島 友洋

【編集長 / マーケター / WEBディレクター】東証プライム(旧東証一部)上場企業にてWEB記事の執筆を経験したのち、WEBディレクター・デザイナーとして独立。2021年株式会社プレアに入社、メディア部門の編集長としてオウンドメディア、コンテンツマーケティングを担当。中小企業のサイト制作における内部SEO対策やコンテンツ設計、メディアのSEOライティングを通じてSEO施策に携わる。

プレア取締役のアベです。春ですね。桜がドヤと咲き誇る最高の季節なのに、あなたの表情には隠しきれない不安がにじんでいます。それがなぜなのか、わたしにはわかります。あなたがつい先日、上司からこんなことを言われたからです。

えらいひと
えらいひと

あ、そこのキミ、4月からブログ担当ね! よろしく〜

あなた
あなた

へ? ブログ……?

焦ったあなたは、あわててGoogle検索をしたかもしれませんね。このページを開いてくださってありがとうございます。

今回は、あなたと同じように無茶振りを受け、「なんやねん」と思いつつ、無事に苦難を乗り越えて大きく成長してくれた弊社スタッフのストーリーをご紹介しようと思います。

今回の主役

三島 友洋 Tomohiro Mishima

◆ プレアオフィシャルブログ編集長

2021年株式会社プレア入社。フリーランスWebディレクターとしても活躍中。地頭が良く向上心も強いので、みんなから何かと頼りにされがち。

ライターとして企業ブログの運営経験はあったものの、立ち上げから担当したことはなく、戦略系の知識はほぼない状態からブログ編集長へ。

突然、ブログ担当に指名されたら

プレアオフィシャルブログの状況
  • ブログメディア自体は用意されている
  • 取締役アベが数年前に書いた記事が数本掲載されている(飽き性ですみません…)
  • これを使って新規客開拓をしていきたいという意気込みだけはある
  • ブログメディアで得たノウハウを、クライアントのブログ運用代行にも横展開したい
  • 担当者は三島さんが最適だろうと思われた

こんな状況下で、「明日からブログ担当、よろしく」と無茶振りされたわけですね。

みなさま薄々お気づきかもしれないですが、何を隠そう三島さんに無茶振りをした「上司」というのはこのわたくしです。わたしの中では「彼ならやれる」という確信があったからこその抜擢だったのですが、当の本人はどう思っていたのか、恐る恐る聞いてみることにしました。

三島
三島

あのときの気持ちを正直に言うと、戸惑い5:楽しみ3:不安2って感じですかね。

三島
三島

私自身の状況として、ブログの運営とか流入作りみたいなことってやったことがなかったんですよね。前職で「ブログを書く」「文章を書く」というのは経験があったんですが、ブログを使って集客するなんて深く考えたことがなかったので、本当に何からやればいいのかという状況でした。

なんと……

めっちゃ戸惑ってるー!!!

そうです。彼は戸惑っていたのです。

  • ブログ担当って、具体的に何をすればいいんだろう?(全体像、ゴールまでの道筋がわからない)
  • そしてまず何からすればいいんだろう?(明日すべきことがわからない)

森も見えなければ木も見えない。そんな状況だったと彼は言います。

第一の難関「良さそうなキーワードがない!」

三島
三島

最初にしたことは、「良さそうなキーワードを探す」でした。

「オウンドメディア」「マーケティング」といった大枠のキーワードだけは最初から決まっていたので、「オウンドメディア+〇〇」っていう複合的なキーワードで、良さそうなものを探してみるところからスタートしました。

大前提として、企業ブログでは、まず記事のテーマとなるキーワードを設定し、そのキーワードでGoogle検索された際に記事がヒットするよう執筆していきます。

※検索時に入力するキーワードは、正式には「クエリ」といいますが、難しいので以下「キーワード」とします

有料ツール「Pascal」を使用したデータ

たとえば1枚目、「オウンドメディア」というキーワードは月間18,100回検索されていますが、ニーズの高いキーワードは競合も多いため、上位表示の難易度は「5.0+ かなり難しい」。しかも「必要な子記事数 61ページ以上」というのは、オウンドメディアをテーマにした記事が61ページ以上ないと上位表示は難しいよ、ということです。

かたや、2枚目の「オウンドメディア 作り方」だと、月間210回しか検索されていないものの難易度は「2.5 狙い目」。しかも「お勧め記事形式 単一ページ」、つまり1ページだけで上位表示が狙えるということです。

「オウンドメディア」などビッグワードと呼ばれる大物キーワードで上位表示を狙うには、「オウンドメディア+〇〇」といった複合キーワードで上位を取りつつ、Googleさんからの信頼を集めていくことが重要なのですね。

三島
三島

月間検索回数があまりに少ないキーワードだと、上位表示できたとしてもインパクトがなさすぎますよね。
月間1,000くらいを狙うのがいいというのは自分なりに調べたり教えてもらったりしていたので、それくらいのボリュームを探すんですがちょうどいいのが全くなくて焦りました(泣)。

新しく立ち上げたブログメディアで記事を書くときは、月間検索件数500回くらいのキーワードを狙うのがいいと言われています。ただし、今回のプレアブログのように、専門家が昔から使っているドメイン(URL)で専門分野の記事を書く場合、1,000回くらいでもいける可能性は高くなります。

三島
三島

SEOのやり方をGoogleで調べると、いいことを書いている記事っていくらでも出てくるじゃないですか。でも結局、誰も「あなたのブログにはこうするのが正解だよ」って教えてくれないんですよね。検索回数1,000というのも目安でしかない。

三島
三島

ひとつのキーワードや記事だけでめちゃめちゃ認知度が上がったとか、一気に問い合わせが増えたなんて夢のようなことはないので、まずは200とか300とか小さいキーワードを狙って手数を打っていくしかないんだなと気がつきました。

ちなみにプレアではキーワード選定に有料ツールを使用していますが、無料で検索回数が調べられるツールもありますので、詳しく知りたいかたはこちらをどうぞ。

第二の難関「一球入魂した記事にGoogleが塩対応」

そこから、外部ライターさんと連携しながらとりあえず記事を増やしていくのですが、「これでいいんだろうか」という不安が拭えなかったと言います。

三島
三島

「どこから始めたら効果的なのか」「何が正解なのか」っていう思考でスタートしちゃったので、【正解探し】から抜けだせずにいました。正しそうな方法を探して、でもやっぱりしっくりこなくて、また違うところに正解を探しにいく……って、ずっとグルグルしていた感じです。

三島
三島

メディアのゴールだったり、方針だったり、ペルソナだったり、そういった根本になきゃいけない戦略みたいなものが欠けていたので、手は動かしているけどどこに向かっているのか、どうしたらいいのかと悩んでいました。

そんなとき、三島さんが取り組んだのがこちら、自身で企画・執筆・編集を担当し、弊社代表・香川への取材を含めた渾身の記事です。

こちらは、メディアの方向性を社内で話し合った結果、やろうと決まったアイデアなのですが、くしくもこの取材中、モヤモヤを晴らしてくれるような学びがあったそうです。

三島
三島

この記事では、「検索離れと言われる時代にブログメディアは必要なのか」「後発メディアがどう勝っていくのか」といった私自身の疑問をぶつけています。代表の香川はWebマーケティング歴20年の大ベテランなので、とてもいい機会だったと思います。

初心者がいだくであろう疑問に明確な答えをもらい、自身でも補足情報を調べ、考え、一球入魂の記事に仕上げることができた三島さん。

かなり自信があったそうなのですが……

三島
三島

それまで手がけた記事は、早いと2〜3週間くらいで検索上位に入ってくる感じだったんです。そのうえ今回はかなり作り込んだ渾身の記事ですから。毎日検索順位チェックツールでウォッチしてワクワクしていたんですが、一向に上がってこない(笑)

三島
三島

一瞬だけ40位前後まで上がってきたことがあったんですが、期待と反比例して、翌日またランキング圏外に(泣)。

三島
三島

どんなに気合いを入れた記事でも、一発目で思い通りの結果がでるわけないっていうことに、ここでようやく気づいたんですよね。

何度も執筆していると気がつくのですが、検索入りの初速って遅いことが多いのです。もちろんすでに成熟しているブログメディアだったり、著名人や権威者が書くブログだったり、あるいは検索ボリュームが小さいキーワードだったりすると、数日で10位以内に入ってくることもあります。

ですが、公開後数ヶ月して、忘れた頃に突然上がってくる記事もたくさんある。大切なのは、Googleに振り回されて一喜一憂しないことなのかもしれません。

第三の難関「リライトの仕方」、そしてブレイクスルーへ……

そしていよいよ、三島さんにとってブレイクスルーともいえる出来事が起こります。

三島
三島

「第二の難関」でお話しした記事を書いてから、「読む人の気持ち」を深く考えるようになったんです。Googleでキーワードを入れて検索するときの「検索意図」というやつですね。

三島
三島

たぶんそのおかげで、リライトした記事の検索順位がポンと上がった、あのときの結果につながったのかなと。

「リライト」とは、検索上位表示を目的として、すでに公開している記事を手直しすることです。

「あのときの結果」というのは……じつはこの頃、わたくしアベが約半年前に執筆した記事を三島さんがリライトし、検索順位が6位から2位に上昇するという大事件が起こったのでした。バンザーイ

検索順位のグラフ。リライトした翌々日に急上昇を見せている。

実際の記事はこちらです。

三島さんいわく、この記事をリライトしようと判断したポイントはふたつ。

  1. 記事の内容が、他の上位記事に負けていないと感じた
  2. 表示回数が多い割にクリックされていないと感じた

詳しく解説していきましょう。

まず三島さんが目をつけたのは、検索意図に対する答えとして、記事の内容が適切かどうかです。

三島
三島

もともと6位という掲載順位だったんですが、1〜5位と比べて、情報の質では絶対負けていないように思えたんです。

この記事は「人材紹介 集客」という検索にヒットするよう設計されたものなので、「その検索をする人が知りたいことは何なのか?」「その知りたいことが記事内に書かれているか?」という観点で、内容を読みなおしてみたということでした。

「人材紹介 集客」で検索するのは、きっと人材紹介をお仕事としているかたでしょう。では、そのかた達は何を知りたくて「人材紹介 集客」と検索するのか?

三島
三島

私は、集客するための「手段」を知りたいのではないか、と予想しました。そして、実際に上位表示されている記事を見ると、やはり冒頭に「集客手段の羅列」がある。
一方、自社の記事を見てみると「集客手段の羅列」は記事の後半部分です。

三島
三島

記事内コンテンツの順番が検索意図に沿っていないと感じました。

内容は間違っていないけれど、コンテンツの提示順が間違っている。

それはつまり、お腹が空いていて今すぐ食べたいのに「まずはシェフのうんちくから」と言われるようなもの。サンリオ人気キャラクターランキングを知りたいのに「まずはハローキティの歴史から」と言われるようなものなのでしょう。

お腹が空いているのならまずは食事、そのあとにうんちく。ランキングが知りたいならまずは順位発表、そのあとに歴史。これが「検索意図に沿う」ということなのではないでしょうか。

コンテンツの順番を入れ替えた三島さんがもうひとつおこなったこと、それはタイトルの書き換えでした。

クリック数÷表示回数が、当時は10%程度だった(現在は18%)

検索結果として表示された回数がそれなりにあるにも関わらずクリック数が伸びていない場合、タイトルが検索結果画面で魅力的に見えていない可能性を考えます。「魅力的」とは言うまでもなく、「検索意図を満たす記事だ」とユーザーに伝わることですね。

そこで、三島さんのしたリライトしたタイトルはこちら。

before

【人材紹介会社様向け】求職者を集めるには?プロが教えるWeb活用方法

after

【人材紹介会社様向け】人材サービスの集客方法とは?プロが教えるWeb活用方法

おわかりいただけただろうか

これ、「求職者を集める」を「人材サービスの集客方法」に変えただけなんですね。

コンテンツの順番を入れ替える、タイトルを変える。ほんの少しの違いですが、検索順位・クリック率という結果から考えるに、これらが正しかったことは疑うべくもありません。

SEO対策をするにはGoogleのアルゴリズムに沿った記事を書くことが重要ですが、Googleのアルゴリズムに沿うためはユーザーの検索意図を想像する必要があるのです。

このときの学びを活かし、それまで以下の流れで進めていたところを、

  1. ターゲットキーワードを決める
  2. 勉強したSEO知識をもとに正しそうな構成の大枠を考える
  3. 実際に検索してみて上位記事も似たような構成だったらOK
  4. ライターさんへ依頼

こちらのように変更したそうです。

  1. ターゲットキーワードを決める
  2. このキーワードで検索する人の意図を想像してみる
  3. その意図を持って上位記事を閲覧する
    (思った通りになっていれば想像した検索意図が合っていると判断)
  4. 上位記事を参考に検索意図に合った構成の大枠を考える
  5. 上位記事にはない、検索意図に合ったオリジナルコンテンツを加える
  6. ライターさんへ依頼

「検索意図を考える」工程がしっかり組み込まれていますね。

三島さんのリライト術を詳しく知りたいかたは、こちらの記事をどうぞ。

上司から突然ブログ担当に指名されたあなたへ

それでは最後に、「キミ、4月からブログ担当ね」と無茶振りをされてプレッシャーを感じているあなたへ、三島さんからのメッセージをお願いしました。

三島
三島

まずは……焦りますよね、私も焦りました(笑)

三島
三島

アドバイスとして言えるのは、やっぱり「ユーザーのことを考える」ことかなと思います。

最初は「記事増やさなきゃ」とか「検索上位狙わなきゃ」とかいろいろ考えちゃうと思うんですけど、それって結局手段でしかなくて、大事なのは「お客さん、ユーザーとどう関わっていきたいか」じゃないですか。

三島
三島

細かいところで言うと、記事がユーザーの検索意図が合っているかどうか。もっと大きなところで言うと、記事で自社を見つけてもらったあとどう関わりを続けていくかというブログメディアの外に派生する部分。

三島
三島

自社を知っていきなり成約してくれるかたなんてそうそういないので、「ユーザーのお困り事を解決する記事」「サービスを知ってもらう記事」「自社を好きになってもらう記事」など出し分けながら、少しずつ関わりを深めていくのがいいんじゃないかなと思います。

三島さんは、たくさん悩んだ混沌の時期を経て、ようやく最近楽しめるようになってきたところだそうです。弊社プレアは長年SEOやWebマーケティングに携わってきた会社なので、新しい力との相乗効果がますます期待できるぞと感じた取材となりました。

企業ブログでお困りではありませんか?

広報や集客のお悩みをお持ちであれば、ぜひお気軽にご相談ください。

自社ブログ運用で得たノウハウと、創業当初から取り組んでいるWebマーケティングの掛け合わせで解決策をご提案いたします。

受付:平日 10:00〜17:00
コールセンターにて受付後、折り返し差し上げます

おまけ:参考になったブログメディア4選

ここでは、三島さんが参考にしたという企業メディアを紹介します!(順不同)

ミエルカマーケティングジャーナル / 株式会社Faber Company

メディアURL: https://mieru-ca.com/blog/
おすすめ記事:5分で理解!オウンドメディアとは? ~事例とともに分かりやすく説明します~

三島
三島

SEOの権威・鈴木謙一さん、Webアナリスト・小川卓さんらが名を連ねるミエルカ。そのオウンドメディアもやっぱりとても参考になります。

文章の親しみやすさ、事例や説明のわかりやすさから、初心者にこそぜひ読んでほしい!

PINTO! / 株式会社PLAN-B

メディアURL: https://www.plan-b.co.jp/blog/
おすすめ記事:【実例紹介】PINTO!でも直面した3つのコンテンツSEO課題と克服法

三島
三島

こちらの記事は、「記事を作るのには慣れてきたけどこの先どうすればいいの?」という自分の悩みに、ひとつの答えを出せるきっかけになりました。

LIG公式ブログ / 株式会社LIG

メディアURL: https://liginc.co.jp/blog
おすすめ記事:SEOおたく氏直伝!コンテンツを100点に引き上げ検索1位をとる方法とは

三島
三島

LIGさんのブログといえば面白いことで有名ですが、特にこの記事は、まこりーぬさんの文章、そして業界リーダーからのインプットと、学びが多すぎでした……。

LANYブログ / 株式会社LANY

メディアURL: https://lany.co.jp/
おすすめ記事:SEO対策とは?検索結果に上位表示させる具体的なやり方を解説

三島
三島

SEOの専門家、LANYさんのブログです。明確な論旨でズバッと学べる点が魅力。