インバウンドマーケティングとは?メリットデメリット、実現のために必要な考え方

アベユキノ

執筆者:アベユキノ

【マーケティングコンサルタント/株式会社プレア取締役社長】2016年〜クライアント企業のマーケティング支援に従事。2012〜2015年株式会社リクルートライフスタイル(現・株式会社リクルート)にて広告の企画提案営業、全国営業MVP受賞。SNS戦略を得意とし、Twitterのフォロワー数10,000人超。

従来の営業やマーケティング手法は「アウトバウンド(outbound)」、売り手から買い手にアプローチするのが一般的でした。しかし「インバウンド(inbound)」はその反対。買い手自らの意思で売り手企業との関係性を続けることを意味します。

プレアでは、この「インバウンドマーケティング」を推奨しています。

ぷれあ
ぷれあ

従来型の「アウトバウンドマーケティング」の対義語。
つまり、ターゲット側から自然に集まってもらう手法のことですね。(ドヤ顔)

あなた
あなた

いやいや、そりゃ向こうから集まってきてくれたら最高だけど、そんなことできないからアウトバウンドしているわけで……。(簡単に言うなよ、こいつ)

さて、そんなことが実現可能なのでしょうか。

インバウンドマーケティング実現のために必要な考え方

まずはじめに、インバウンドマーケティングについて考える際に、とても重要になるマーケティングコミュニケーションの原則があります。それは頭文字を取って「4R」と呼ばれており、売り手から買い手に送る情報について表しています

  • 適切な相手に(Right Person)
  • 適切なタイミングで(Right Timing)
  • 適切な内容を(Right Contents)
  • 適切な媒体で(Right Channel)

適切な相手に(Right Person)

4Rのうち、もっとも大切なのがこちら。どんなに素晴らしい商品でも、必要のない人に売りつけるのは下から上に水を流すようなもの、自然の原理に反する無駄な苦労を増やす行為です。

たとえば、アップルウォッチを例に考えてみましょう

アップルウォッチといえば、iPhoneを擁するApple社のスマートウォッチ。Androidスマートフォンではほとんど使用できないため、iPhoneを持たない人にとっては「ただのデジタル時計」でしかありません。

この場合、Androidスマートフォンを利用している人は「適切な相手」とは言えないですよね。アップルウォッチに興味を持ってもらう前に、AndroidからiPhoneに乗り換えてもらうというハードルを越えなければなりません。

仮に「iPhone利用者の90%がアップルウォッチを所有しており、これ以上の売上拡大を目指すにはAndroid利用者に顧客になってもらうしかない」という状況なのであれば話は別です。ですが、恐らくそうではありません。

iPhoneを持たない人にアップルウォッチを購入してもらうの、やはりは無駄な苦労を増やす行為と言えるでしょう。

適切なタイミングで(Right Timing)

では適切なタイミングとはなんでしょうか。

たとえば先ほどのアップルウォッチには、日々の健康状態を高精度で計測する機能がついています。その機能について情報を送るのに、適切なタイミングとはいつだと思いますか。

そのタイミングのひとつに、「健康診断で太りすぎを指摘された直後」があるでしょう。「去年より5kgも増えていますよ、適度な運動してくださいね」とわかりきったことしか言わない医師を目の前に、あなたは途方に暮れるかもしれません。わかっとるわ、それができてれば苦労せんわい、と。

そんなとき、あなたに必要な運動を教えてくれるアップルウォッチの情報が届いたらどうでしょうか。

ーーーアップルウォッチは、あなたに必要な運動を教え、励ましてくれるパーソナルトレーナーです。

あっぷる
あっぷる

今日はあと〇〇歩ウォーキングするといいですよ。

あっぷる
あっぷる

体重が昨日より0.5kgも減りましたよ。

あっぷる
あっぷる

ついでに言うと、明日の天気は晴れですよ。

「こんなこと教えてくれるなんて最高!まさに欲しかった機能!よっしゃこれ買ってダイエットに励むぞー!」となる可能性は高いかもしれませんね。

こういったタイミングは、「SNSでダイエットに関するアカウントをフォローした」「Googleで『健康診断 やばい』を検索して記事をクリックした」などといった動きから推測することができます。もちろん100%当てることはできませんが、大切なのはターゲットの立場になって考え、どんな行動をするだろうかと考えることです。

適切な内容を(Right Contents)

これについては、前述の「タイミング」をご覧いただけるとわかりやすいと思います。

ダイエットを決意した人に、焼肉食べ放題のメルマガは適切ではないですよね。適切な人、適切なタイミングがわかっていれば、適切な内容で情報発信することは、そう難しくはないかもしれません。

適切な媒体で(Right Channel)

そして最後は適切な媒体(チャネル)です。

最近の若者はテレビを見なくなった、というのはよく聞く話ですよね。たとえば平日の昼間、昭和のトレンディドラマ再放送中にテレビCMを流すことは、若者の認知獲得施策として適切でしょうか。

「インターネット広告」を選ぶにしても、Google、Facebook、インスタグラム、Twitter、TikTok、NEWSアプリのタイアップ広告……本当にたくさんのチャネルがあります。

そして選んだあとは、どの媒体に出した広告が効果を出しているのかしっかり見極めて次に活かすことがとても重要です

つまり、適切な相手を見極め、その人に喜んでもらえる且つ自社の商品分野である情報を提供すること。そして相手が見るのに無理のないタイミングを媒体を慎重に選び、断続的に情報を受け取ってもらえる関係性を築いておくことが重要なのです。

ではいったいどのようにして4Rを実現させるのでしょうか。

ツールを導入してデータを活用する

先にご覧いただいたとおり、インバウンドマーケティングではコミュニケーションの「適切さ」が鍵となります。

人の力で時間をかけてできることもたくさんありますが、4Rを実現させるには個々人に合わせた情報の出し分けが必要なため、すべてを手作業で行うのは現実的ではありません。

また、明確なデータをもとにした振り返りなくしては施策の改善も望めないため、マーケティングには適切なツールの使用をおすすめします。以下に提示する以外にも、必要に応じてツールは随時ご提案いたします。

CRMを基盤としたMA・SFAツール

プレアは、HubSpot(ハブスポット)というCRMプラットフォームの正規代理店であり、その活用をご提案しています。(参考:CRM・MA・SFAとは

MAツールは世の中に数えきれないほどありますが、私たちがその中からHubSpotを選んだ一番の理由は、このページの主題である「インバウンドマーケティング」の提唱者、ブライアン・ハリガンで創始者であるということです。

創業の経緯

2004年、マサチューセッツ工科大学の大学院で同期だったブライアン・ハリガンとダーメッシュ・シャアは、消費者の購買行動が変わりつつあることに気付きました。見る人の注目を集めようと過剰なアピールをしてくる広告に、消費者はうんざりするばかりか、そもそも見向きもしなくなってきたのです。

こうした変化に対応するために設立されたのが、HubSpotという会社でした。HubSpotの理念である「インバウンド」の根底には、「消費者は企業のマーケティング担当者や営業担当者に邪魔されることは望んでおらず、ただ力になってもらいたいと思っている」という考え方があります。

HubSpot公式サイト

インバウンドマーケティングを実現するために生まれたHubSpotは、現在ではMAツールとして世界でもっとも多く利用されています。

Google AnalyticsをはじめとしたGoogleの公式ツール

プレアでは、Webサイト制作の際、以下のツールを標準で設定しています。

  • Google Tag Manager
  • Google Analytics
  • Google Search Console

これらのツールは、サイトの健康状態を知るためには不可欠です。設定が多少ややこしい部分もありますが、基本的にはプレアですべて設定させていただき、すぐに閲覧開始できる状態でお渡ししています。

ヒートマップツール

ヒートマップツールとは、ユーザーがWebサイトをどのように閲覧しているかを確認できるツールです。

ページ途中で離脱せず最下部まで閲覧された読了率は何%か、読んでもらいたいコンテンツの熟読率はどの程度か、重要なバナーはクリックされているか、など、無料のGoogle公式ツールだけではわからない部分まで知ることができます。

月額3,000円程度から利用できるものもあり、コンテンツのPDCAを回していくには欠かせないツールです。

インバウンドマーケティングのメリット・デメリット

うまく活用すればとても魅力的なインバウンドマーケティングですが、決して簡単なものではなく、実施を決めてから一年ほどで諦めてしまう企業も多くあります。そのメリット・デメリットについて、最後に確認しておきましょう。

メリット

顧客に好かれるブランディングができる

ここまでお伝えしてきたとおり、インバウンドマーケティングの基本は「顧客と良好な関係を築くこと」。今回は見込み客発掘の部分を主に取り上げましたが、その概念は営業・カスタマーサービスまで引き継がれます。

顧客に好かれるブランディングは最強の広告です。長期的に見れば広告予算の削減にもつながります。

コンテンツが資産となって蓄積される

前述のブランディング同様、作成したブログ記事やダウンロード資料なども蓄積可能な資産となり、長期的には予算削減へと導いてくれます。

毎月4本のブログをアップすると、年間で48本。長く続ければ続けるほど、その効果は出やすくなっていきます。

データを集めて活用することができる

インバウンドマーケティングを活用することで、顧客に関するデータが絶えず集まってくる仕組みを構築することができます。集めたデータを、マーケティングの精度向上だけでなく営業やカスタマーサービスにまで一貫して活用できる体制づくりは、まさに「DX推進」そのものです。

デメリット

効果が出るまでに時間がかかる

インバウンドマーケティングは「顧客と良好な関係性を築く」という特性上、どうしても結果が見えるまでに時間がかかります。一朝一夕には築けないのは、普通の人間関係と同じですね。

したがって、インバウンドマーケティングの概念を踏襲しつつ、短期的な成果を出すためにアウトバウンド型のマーケティング・営業も並行して行う必要があります。アウトバンドで集めたデータはインバウンドに活用され、インバウンドマーケティングの実行にも好影響をもたらしてくれます。

それなりに費用もかかる

インバウンドマーケティングの要はコンテンツ制作と言っても過言ではありません。ターゲットが欲している情報を次々にお渡しすることで威力を発揮するマーケティング手法なので、内製もしくは外注で常にコンテンツを作り続ける必要があり、それにはコストがかかります。

また、試行錯誤しながらマーケティングツールを使い倒すマーケティング専門チームが少なくとも一人は必要となり、人材育成から始める必要がある企業も出てくると思います。